当時、徳川幕府からキリシタン大名の嫌疑をかけられた忠之公は、西公園の荒津山に、徳川家康公を祀る東照宮を建て、日々掌を合わせていらっしゃいました。同時に、疑いを払うために博多の町に次々と寺を建てており、そのお寺の一つが、当山、妙法寺と言われています。
妙法寺は福岡藩の武士の寺として、忠之公の家臣たちを檀家として抱え、法灯を受け継いできました。境内には、お題目の熱心な信者であるとともに徳川幕府の嫌疑から九州のキリシタン大名をお救いした加藤清正公を祀った清正公堂も建立されており、黒田藩上層部の強い願いにより作られたそのお堂が、当寺院の歴史の深さを物語っています。
寺院には山号と寺号があり、当寺院は山号を『啓運山』、寺号を『妙法寺』と言います。山号である『啓運山』は、運を「啓く(ひらく)」という意味を持ち、もともとは武家の寺でしたが、その山号にあやかり運を開くということで、商売繁盛を願い檀家になられる博多の人々も増えてきました。
寺号である『妙法寺』は、仏様の心理、悟りの世界を表した言葉です。お釈迦様の教えである「妙法蓮華経」というお経の「妙法」の二文字を寺号にとっています。
「何よりもお寺に親しみを持っていただきたい」という住職の願いから、春夏秋冬の自然を境内に取り入れ、催事を通して四季の移ろいを感じていただけるようにしています。
2001年から、境内の蜻蛉庭にてゲンジボタルの繁殖に取り組んできました。最初は苦労の連続でしたが、三年目から安定し、ホタル以外にもカワニナやトンボ、カゲロウ、マシジミなど、沢山の生き物を育てています。テレビ局の取材も受け、毎年3000人以上の方々に、都会に住むホタルを気軽に楽しんでいただいています。広大な寺院の中の井戸水が流れる小川には、毎夏ホタルが飛び舞います。夏の夜は是非、庭に息づく小さな生き物たちや、ホタルの暖かく優しい光をご覧になってください。
総本山身延山への敬慕崇拝の心を表すために、30本のしだれ桜を拝受し植樹しています。年々育つ桜を見ながら、いつか檀家の皆様と花見が出来ることを夢見ています。
2012年から、京都のヤマサキ水草園さまとロータス研究所さまの指導を仰ぎながら生育しています。貴重な古代蓮である大賀蓮をはじめとし、様々な蓮や睡蓮に挑戦しています。
境内の蜻蛉庭では、ハイゴケ、スギゴケ、ミズゴケを中心に生育しています。苔が茂った緑色の庭は、年中を通して風情あふれる情緒を楽しめます。